観葉植物の中でも人気の高いモンステラ。
特徴的な葉の切り込みと存在感ある姿から、園芸ファンに限らず、多くの人々の関心を集めています。
モンステラは、初心者でも育てやすい植物ですが、「葉に切り込みが入らない」というお悩みを抱えている方も少なくありません。
この記事では、モンステラの自生地環境を考えたうえで、切り込みが入らない理由と、切り込みを入れるためポイントについて、解説します。
- モンステラの自生地の環境
- モンステラの切り込みが入らない理由
- モンステラの切り込みを入れる育て方
ぜひ、最後までお読みください。
モンステラの特徴
まず、モンステラの基本情報をまとめました。
モンステラの基本情報
特徴 | 詳細 |
科・属 | サトイモ科・モンステラ属 |
原産地 | 熱帯アメリカ |
葉の形状 | ギザギザの切れ込みがあり、成長に伴い独特な形になる。 |
成長環境 | 明るい場所を好み、耐陰性もある。温暖な気候を好む。 |
気根 | 茎から出る根で、支柱の役割や空気中の水分を吸収する。 |
人気の種類 | モンステラ・デリシオーサ |
モンステラの自生地
植物を育てるとき、自生地を考えると、生育環境がわかるといいます。
モンステラは、主に中南米の熱帯雨林に自生する、半つる性の着生植物です。
自生地では、樹木や岩に絡みつきながら成長し、光を求めて上へと伸びていきます。
- 光:木漏れ日のような柔らかい間接光が差し込む環境
- 温度:年間を通じて20℃~30℃の温暖な気候
- 湿度:高湿度で、空気中の水分をしっかり吸収できる環境
- 土壌:有機物が豊富で通気性のよい土壌
この環境を維持できると、モンステラは健康に成長し、美しい切り込みの入った葉になりますよ。
モンステラの名前の由来
モンステラという名前は、奇怪・異常という意味のラテン語”monstrum”(モンストラム)に由来しています。
熱帯地域では、モンステラがうっそうとしたジャングルの樹木にツルをのばして着生する姿や、独特で奇妙な大きな葉が、怪物のようにみえたのかもしれませんね。
自生地の環境を理解して、育て方の参考にしてね
葉の切り込みの秘密
モンステラの葉は、どうして切り込みが入るようになったのでしょうか。
諸説ありますが、この記事では3つご紹介します。
より多くの日光や風を通す
モンステラは、熱帯雨林の大きな木々に囲まれる中で、少しでも日の光を浴びようと、葉が進化していきました。
葉が大きくなると、下の葉に光が届かなくなります。
下の葉にも日光を行きわたらせるために、切り込みが入ったといわれています。
また、切り込みが入ることで、風通しがよくなり、害虫を予防する効果もあります。
重みに負けない
モンステラは、成長すると葉が1mほどになります。
成長すると徐々に重みがまし、株が倒れてしまうことがあります。
葉に切り込みが入ることで軽量化し、株が安定して成長できるのです。
また、倒れてしまった場合も、葉の切り込みの下は生かしておけますよね。
そこから、また再生できるのです。
雨や風のダメージを減らす
熱帯雨林の強い雨や風に、耐えやすくするために、切り込みが入ったともいわれています。
大きな葉に雨粒や風がダイレクトに当たると、葉や茎が折れてしまうことがあります。
葉に切り込みがあればあれば、その衝撃をやわらげることができますね。
モンステラの切れ込みは、熱帯雨林でたくましく成長するためなのね。
葉に切り込みが入らない理由
次に、観葉植物としてのモンステラの生育について考えていきましょう。
葉に切り込みが入らないのは、次の理由が考えられます。
株が若い
モンステラは、成長していく過程で、葉に切り込みを入れます。
株が若い時には、下に葉がなく、日光を当てるための切り込みはできません。
一般的に、5〜7枚目の葉から切れ込みが入り始めます。
光不足
モンステラは明るい間接光を好みます。
光量が不足すると、新しい葉が十分に成長せず、切り込みや穴が形成されにくくなります。
温度が低い
自生地のような温暖な環境下で、元気に育ちます。
室温が15℃を下回ると成長が鈍くなり、切り込みが入りにくくなります。
栄養不足
生育期(5月~9月)に十分な肥料を与えないと、葉が小さくなり、切り込みも入りにくくなります。
また、何年も植え替えをせずに育てていると、土が古くなり、栄養がとれなくなります。
鉢のサイズがあっていない
根が窮屈になると、成長が制限されてしまいます。
そのため、葉が成長できず、切り込みが入らなくなります。
若いだけでなく、健康に育たないと切り込みができないわよ。
モンステラの切り込みを入れる育て方
では、切り込みを入れるための育て方を具体的に解説します。
光を確保する
モンステラは窓際のレースカーテン越しなど、やわらかな光を好みます。
直射日光は、葉焼けの原因になるため避けましょう。
熱帯雨林原産の植物なので、強い日差しは苦手なのです。
温度管理
モンステラは寒さに弱いため、10℃以上をキープしてください。
低温が続くと葉が変色することがあります。
冬は、窓から少しは離れた場所に移動するなど、対策をしましょう。
適切な水やり
水やりの基本は、「土が乾いてからたっぷり」です。
鉢底から水が流れるまで、与えましょう。
ただし、季節によって、頻度をかえる必要があります。
気温が低下すると、モンステラの成長が緩やかになり、水を吸い上げるが遅くなります。
次のタイミングを目安にしてください。
- 春夏:土の表面が乾燥してからすぐ
- 秋:土の表面が乾いてから2~3日後
- 冬:土の表面が乾いてから4~5日後
栄養補給
肥料は、生育期(5月~9月)に与えましょう。
緩効性の固定肥料は、2か月に1度、即効性のある液体肥料は、10日に1度を目安にしてください。
なお、冬に肥料は与えません。
気温が低くなる休眠期に肥料を与えると、根に負担をかけてしまいます。
寒い時期に肥料を与えるのは控えましょう。
肥料は分量を守って与えてね。
植え替え
モンステラの成長に合わせて、一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。
植え替え時期は、5月から9月が最適です。
冬に植え替えてしまうと、植物に大きな負担がかかりますので、気を付けてくださいね。
鉢のサイズは大きすぎてもよくないわよ!
モンステラについてよくある質問
モンステラの葉の切り込み以外のお悩みについて、解説します。
Q1. モンステラの茎から伸びている根のようなものは切っても大丈夫?
「気根」と呼ばれるものです。
気根には、「株自体を支える」「空気中の水分や酸素を吸収・放出する」という役割があります。
気になる場合、多少切っても問題ありませんが、すべて切ってしまうのは避けましょう。
蒸散のバランスが取れなくなってしまいます。
切らずに、土の中に埋めてあげることで、モンステラの支えとなりますよ。
Q2. モンステラが横に広がってきた
支柱を立ててあげましょう。
モンステラは、ツル性の植物なので、放っておくと、どんどん横に広がってしまいます。
支柱を立てることで、横に広がるのを防ぎ、まっすぐ美しい姿となります。
スペース問題も解決しますよ。
Q3. モンステラの剪定は必要?
モンステラが成長して込み合ってきた場合、剪定をしてください。
剪定時期は5月~9月です。
不要な葉の根元を、清潔なハサミで切ります。
大きく成長したモンステラの場合は、節(成長点)の3~5㎝ほど上を剪定するようにしてください。
Q4. モンステラは水耕栽培できるの?
水耕栽培でも育てられます。
モンステラは、水が好きな植物なので、多くの水を吸水します。
節と気根を含めた状態で剪定し、水差しにすると、やがて発根します。
発根後、土に植え替えると、モンステラを増やせますよ。
切り込みの入ったモンステラを育てよう:まとめ
ここまで、モンステラの葉に切り込みを入れる方法や、よくある質問について、解説してきました。
まとめます。
- 木漏れ日のような柔らかい光
- 温暖で高湿度
- 通気性のよい土壌
- 多くの光と風を通す
- 重みや倒れたときの対策
- 大雨や大風のダメージを減らす
- 株が若い
- 光不足
- 温度が低い
- 栄養不足
- 鉢のサイズがあっていない
- やわらかい光を確保
- 温度10℃以上をキープ
- 適切な水やり
- 肥料と植え替え
- Q:気根は切っても大丈夫 → A:多少は問題ないがすべて切るのは避ける
- Q:横に広がってきた → A:支柱を立てる
- Q:剪定は必要? → A:込み合ってきたら、5月~9月に剪定する
- Q:水耕栽培できる? → A:可能、水耕栽培で増やせる
モンステラは、独特な葉の形状とつやのある美しい緑色が魅力の観葉植物です。
丈夫で、初心者でも育てられやすいという点も、人気の理由のひとつです。
葉の切り込みがない、という気づきから、より注意深く植物を育てることにつながります。
適切に管理をして、毎日観察してください。
やがて、くるりとした葉がゆっくりと開き、切れ込みが現れるでしょう。
モンステラの魅力を引き出し、自分だけの癒しのグリーン空間をつくってくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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