トトロの住むクスノキ|神聖な木がもたらすリラックス効果

クスノキと聞いて、何をイメージしますか？

神社に立つ大きな木、トトロが住む木、縁起のよさそうな木。

いずれも、どこか神聖な木としての印象があるのではないでしょうか。

長寿、大木、香りなど、クスノキが神聖なイメージとつながる理由は、さまざまあります。

この記事では、クスノキの神聖なイメージはどこからくるのか、その要因を探ります。

また、クスノキの効果を日常生活に取り入れる方法もご紹介しますよ。

ぜひ、最後までお読みください。

 なぜクスノキは神聖なイメージなのか？

クスノキは、神社でみかけることが多いですね。

クスノキの神聖さや縁起のよいイメージは、神社とのつながりによるものが大きいでしょう。

クスノキが神社に多い理由

なぜ、クスノキは神社にあるのか、それにはいくつかの理由があります。

それぞれの詳細については、次の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

全国の有名なクスノキ

全国には、存在感や歴史的価値から、多くの人々に親しまれ、尊重されているクスノキがあります。

耐寒性が弱いことから、日本では本州(関東南部以西)、四国、九州に広く分布していますよ。

蒲生のクス（鹿児島県：蒲生八幡神社）	幹周24.22m、樹高約30m、推定樹齢1,600年の日本一の巨樹
来宮神社の大クス（静岡県：来宮神社）	幹周23.9mで、日本で2番目に大きいクスノキ
本庄のクス（福岡県：大楠神社）	幹周21mで、日本で3番目に大きいクスノキ
川古の大クス（佐賀県：日子神社）	幹周21mで、本庄のクスと同じく3位にランクイン
武雄の大クス（佐賀県：武雄神社）	幹周20mの巨木
衣掛の森（福岡県：宇美八幡宮）	幹周20mの巨木
大谷のクス（高知県：須賀神社）	幹周17.1mで、樹齢1200年と推定される古木

圧倒的な生命力と威厳ある立ち姿を誇るクスノキは、神聖な存在として、古代から大切にされてきたのでしょう。

クスノキと日本のアニミズム信仰

このように、巨大なクスノキの多くは、神社にあります。

日本では、古来から「森には神が宿る」と信じられてきました。

この考え方は、アニミズムと呼ばれる自然信仰の一つです。

アニミズムとは、自然界のあらゆるものに霊や神が宿ると考える信仰のことです。

日本では、山や森、巨木、岩、川、湖、滝などに神聖な存在が宿ると考えられてきました。

特に、「森」は、人間の手の届かない神秘的な空間であり、神が降り立つ場所として信仰されていたのです。

日本の神道には、「森そのものが神の領域である」という考え方があります。

神社が建てられる前から、森や巨木は神聖な場所とされ、人々はその場所に神を感じ、祈りを捧げていました。

やがて、村を守るために「鎮守の森」となり、神社が建てられるようになります。

森は、神と人とをつなぐ場所だったのです。

神社の境内に広がる「鎮守の森」は、まさに信仰の象徴です。

そこには多くのクスノキが御神木として祀られ、人々の心を守り続けています。

このような日本の古くからの自然信仰が、クスノキを神聖化しているのではないでしょうか。

トトロのクスノキが象徴するもの

アニメーション映画『となりのトトロ』では、トトロが「森の精霊」として描かれています。

トトロが住む大きなクスノキは、映画全体のシンボルと考えていいでしょう。

クスノキは、日本の広葉樹の中でも特に大きく成長する樹木のひとつです。

樹齢数百年以上になると、幹が巨大になり、枝も広がり、1本だけで森のような存在感があります。

宮崎駿監督は、トトロを通じて「自然との共存」や「見えない存在とのつながり」というテーマを強調しています。

クスノキはただの木ではなく、「森の守り神」として、『となりのトトロ』の世界観を支える重要な存在です。

それは、日本人の「大きな木には神が宿る」という古くからの感覚とも、深く結びついているのではないでしょうか。

現代におけるクスノキとの関わり方

トトロの世界以外にも、クスノキの特別感や神秘性を、身近に感じる方法はあるのでしょうか。

鉢植えで育てる

クスノキは、大木となるため、一般的には庭木には適さないといわれています。

育てたい場合は、小さな苗を鉢植えで育てるといいでしょう。

ぐんぐん育つので、定期的に剪定してください。

剪定の適期は10月〜11月頃ですが、強めに切り詰めると弱ってしまうことがあります。

花芽を気にしない場合は、3月〜4月頃でも剪定できます。

クスノキの香り効果

クスノキは、防虫やカンフル剤に使われる樟脳の原料となる木です。

香り高く、虫がつきにくいという面からも、神聖な木として扱われます。

クスノキの香りは、シャープで刺激的、さわやかさで森林浴をしているときのようなリラックスも得られます。

香りの特徴と効能をまとめました。

特徴	効能
シャープで刺激的な香り	集中力向上、気分をすっきりさせる
さわやかで清涼感のある香り	リラックス効果、ストレス解消
防虫効果	虫よけ、虫刺され予防
抗菌・抗炎症作用	ニキビ予防、皮膚トラブル改善
血行促進作用	肩こり・筋肉痛の緩和、リウマチ症状の軽減
呼吸器系への効果	鼻づまり解消、咳の緩和
皮脂分泌調整作用	脂性肌のケア
利尿・発汗作用	体内浄化の促進
鎮痙作用	筋肉の痙攣やこわばりの緩和

クスノキの香りの楽しみ方

クスノキの香りは、精油やアロマチップなどで気軽に楽しめます。

空間をリフレッシュ

精油を1滴～数滴、ウッドチップや、炭、素焼きの陶器のカケラなどに垂らします。

精油は、リビングや寝室、車の中、玄関、押し入れタンスなど、様々な場面で活用できます。

また、クスノキの端材をブロック状にした天然の防虫剤なども販売されています。

水回りの芳香や抗ウィルス対策に

500mlのペットボトルに水を入れ、精油を5〜6滴垂らし、よく混ぜ合わせてください。

それをトイレのタンクに入れて水を流すとさわやかな森の香りに包まれます。

優れた抗菌効果で汚れ防止にもなります。

また、台所や浴槽の排水溝に流すと、カビやゴキブリ対策になりますよ。

夏場の虫除けに

オイルを垂らしたウッドチップや炭を窓のそばに置くと、虫除けになります。

また、500mlの水と精油数滴をまぜ、雑草にスプレーすると、蚊の対策になりますよ。

神社・公園めぐり

クスノキの木を楽しむ場合は、神社や公園などに出かけるといいでしょう。

有名なクスノキでなくてもいいのです。

近くの神社に行くと、クスノキと出会えるのではないでしょうか。

大きく広がるクスノキの枝は、風でさやさやと揺れます。

なんだか話しかけてくれているようで、安心するのです。

神聖な木クスノキの関わり方：まとめ

ここまで、クスノキが特別で神聖な理由とクスノキの関わり方について、解説してきました。

まとめます。

私たち日本人は、古くから自然と深く結びつき、森や木々に神聖なものを感じながら暮らしてきました。

クスノキはその象徴ともいえる存在です。

しかし、便利さを追い求める現代で、自然を尊重する気持ちを忘れていませんか？

クスノキのそばに立ち、雄大な姿を眺め、葉音をきいてみてください。

かつての日本人が大切にしてきた、自然と共に生きる暮らしは、現代人に大きな気づきを与えてくれるでしょう。

どこかにトトロが住んでいる、そんなことを考えたら、心がほっとするはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。